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2018.1.6 森の迎賓館 2017年6月の森の迎賓館を振り返る

北海道の6月は新緑の美しい景色を見ることができます。やっとすべての木々が芽吹いた大雪 森のガーデンも爽やかな初夏の季節を迎えます。

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ガーデン入口では、チューリップとともに、早咲きのアリウムが皆様をお迎えいたします。アリウムはこのウェルカムガーデンの一番人気とも言えるお花です。多くの方が、ここでまず一枚写真を撮られています。

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そして森の迎賓館は淡い青紫色のエゾハナシノブが緑いっぱいの世界へ誘います。「お待ちしています」の花言葉を持つハナシノブ、ぜひ会いに来てください。

マムシグサ (2)re

美しい緑のマムシグサ。光が差すとすらっとした草姿の美しさが際立ちます。

マムシグサとはマムシが鎌首をもたげたような包と直立したその茎の白い縦じまの反転にマムシを見立てたもの。球茎の真ん中の芽が出る黄色いところが有毒でなめると手先までしびれて治るまでに十日もかかる。神経痛には、有毒のところをすりおろして布や紙に貼って、患部にあてる。刻んだものを布に包んで鉢巻きにすると頭痛が治る。虫下しによく効き、黄色い所を丸呑みする。赤い実は乾かして腹痛の時に2.3粒飲み込む。(アイヌ植物誌より)とあります。

ヤマシャクヤクr

大好きなお花の一つなので、いつもご紹介していますが、ヤマシャクヤクです。カップ状に開くとても薄くて透ける白色の繊細な花びら、中には対照的なしっかりとした雌蕊とたくさんの雄蕊。雌蕊の柱頭と花びらの中心のきれいな紫色、どれをとっても美しい。

オオバタケシマランr

オオバタケシマランも地味ですが、実は可愛らしいお花が咲きます。

控えめというか、ほとんど気づかれないように葉の裏側にひっそりと咲いています。葉の付け根から伸びた花柄が、葉の裏側に沿って伸び、葉の中ほどでねじれ、下に折れ曲がって咲きます。一見、葉の真ん中に垂れ下がって咲いているように見えるのです。優しく触れて、ぜひ裏側にいる花も見てください。

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迎賓館はほとんど緑ばかりです。派手な花はありません。

針葉樹の濃い緑、オヒョウの若緑色、トドマツには葉先が白くなっているミヤママタタビが絡まっており、ハクロニシキの白が混じった葉色も目を惹きます。手前のアメリカテマリシモツケ‘ルテウス’の黄色の葉やホスタの生き生きとした葉も素敵です。

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花開く前の植物が栄養をいっぱい蓄えようと茂っていく様子を眺めると力が湧いてくる感じがします。一日中でも眺めていたいです。ゆったりと座って、鳥や虫や風の音を聞きながら、森の中にいることを実感してください。

ホオノキre

木々の花を楽しめるのもこの時期です。ホオノキの下を通ると甘い香りが漂ってきます。そんな時はどうぞ上を見上げてみて下さい。葉も大きいですが、花も大きいです。

オガラバナre

大雪山系でも見られるオガラバナ。カエデの仲間ですが、花が穂状に咲くのでホザキカエデとも呼ばれます。

ミヤママタタビ(雌花)re

こちらはミヤママタタビの雌花です。甘い実がなる方です。高地に自生し葉先が白からピンク色になる不思議な植物です。

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潤いの森では、沢のほとりで、クリンソウが咲いています。明るいピンク色は森の中ではよく目立ちます。種が落ちて、子供がたくさん出てきていたので、この先もっともっと咲いてくれることを期待します。

エゾゼンテイカre

こちらはエゾゼンテイカ。蝦夷萱草とも呼ばれる黄色いワスレグサ科の植物です。北海道では、湿原や海岸の原生花園でも見られます。朝に花開き、日没とともに静かに閉じるたった一日の命の輝きをぜひご覧ください。

ハクウンボクre

森の広場にあるハクウンボク(白雲木)。花の咲く様子が、白い雲を思わせるのでついた名前です。青空に映える白い雲のようにきれいな花がたくさん咲きました。高さ15mほどになる木ですが、ここではまだそれほど大きくなっていないので、間近で花を観察することができます。

メコノプシス・グランディス (2)re

そして6月の終わりごろ、やっと出会えるのがメコノプシスです。2017年はメコノプシス・グランディスが6月21日に咲きました。

ヒマラヤ原産で高山地帯の標高3000~5000m地帯に分布する植物です。「ヒマラヤの青いケシ」と呼ばれる幻の花で、とにかく暑さに弱く、冷涼な気候の当地でも木漏れ日の中で、水を切らさないように大切に育てているお花の一つです。

2016年は育苗している生産者さんでも夏越しできなく、補植する苗を確保することができませんでした。それほど貴重な植物ですが、2017年は1年ぶりに50株補植することができました。当地の特徴を最大限に活かせるメコノプシスはこれからも少しずつ増やし、見ごたえのあるエリアにしていきたいと思っています。

 

6月の森の迎賓館はいかがでしたか?本当に地味なお花ばかりご紹介してしまいましたが、どれも好きな花なのです。

花は自然の恵みを受けて、自ら咲くから感動するのだと思います。派手さはなくても力強く咲いている花を、花は咲いていなくても生き生きとした美しい緑を、どのように魅せるか、自然の中でより魅力的に見せるために私たちができることを日々考え中です。